拾われた猫。
大広間の前まできて、中に足を踏み入れた時だった。
「あっ…」
裾を踏んでしまって倒れそうになる。
その時にふわっと正面から両肩を支えられて、転ばずに済んだ。
「え…」
驚いて、小さな声が漏れた。
「何だ?」
佐之と呼ばれる男が私を支えて、その声に反応した。
胸の位置にあった視線を彼の顔まで上げる。
「…倒れると思ったから」
「あぁ、びっくりしたんだな」
私の体勢を整えてくれる。
私の反応を笑った。
「雨、大丈夫か?!」
平助と呼ばれる男までが寄ってきて、〝心配〟してくれる。
再び目を見開いて、平助と呼ばれる男を見る。