拾われた猫。
その時、新八の頭に手が伸びた。
「いだだだだっ!!」
「余計な事言ってんじゃねぇよ」
鬼の形相のトシは、そのまま新八を引きずってどこかに行ってしまった。
残った私たち3人は顔を見合わせて、苦笑いを浮かべた。
「さてと、トシさんも行ってしまったようだし、私たちも失礼しようか」
源さんの声でお開きになり、それぞれ部屋に戻った。
私は縁側に腰掛けて月を眺めていた。
───『君を傷つけるものは許さない』
桜牙の声は冗談を言っているようではなかった。
現実かどうかも定かではない夢の事がずっと頭に気にかかっていた。
冬流さんは自分を見失わなければ大丈夫だと言った。
それでもまだ私の中では踏ん切りをつけられないでいたのだった。