拾われた猫。
総司が行った後、猫又を抱き上げて私と同じ顔の高さにする。
私には牙を剥いたり、噛み付いたりしない。
足の包帯も取れた。
この子がもうここにいる理由は無いのに。
この子を閉じ込める檻はもう無い。
それでもここにいる理由が私だとするなら……。
猫又を再び肩の上に置いて、バッと立ち上がる。
振り向いて歩き出そうとした時、顔に胸板がぶつかった。
「うっ…」
「あ、悪ぃ。
大丈夫か?」
よろよろする私を支えてくれた左之。
その横でケラケラと笑う新八を睨みながら、顔を摩った。
猫又は「フーッ」と音を立てながら怒っているので、頭を撫でて宥めた。