拾われた猫。




「雨、雨!」

「……あ、何?」



ボーッと考え事をしていると、左之に何度も名前を呼ばれた。



二人で出かけていることも忘れていた。




「はぁ…」



呆れ笑いで溜め息をつかれた。




「ごめん、何だっけ?」



苦笑を返すと、頭をポンポンッと撫でられた。




「何考えていたか当ててやろう。

……総司のことだろ?」



困ったように笑っている。



素直にコクンと頷くと、切なそうに笑って私から視線を外した。




「お前、総司のことが好きなのか?」



左之の質問に私は迷いなく、「好きだけど」と答える。



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