拾われた猫。



「雨!」



入ってきたのは平助だった。



トシは眉間を寄せ、平助を睨みつけた。


そんな事も気にせず、平助は私を庇うように私の前に座った。




「近藤さんも土方さんも何考えてんだよ!

こいつが間者のわけないじゃん!

よく考えてよ。

俺が連れてきたんだぜ?!」




必死の声もトシの前では無力だった。



「確かに香月はお前が連れてきた。

だけどな、香月はここに来て長い。

その間に寝返ったってことも考えられる。

今は誰が連れてきたなんざ問題じゃねぇんだよ」




いつの間にか集まっていたギャラリーはざわついていた。



平助はその事に気づいてない。




「雨はそんな奴じゃねぇよ!

ずっと一緒に居て分かんねぇのかよ!」

「火の無いところに煙は立たねぇっつってんだ」



勢いよく開いたままの入口からは2人の言い合いはよく通る。




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