拾われた猫。



「2人とも落ち着きなさい」



勇の声も届かないほど、2人は怒鳴り合っていた。




「藤堂さんが間者連れてきたのかよ」

「じゃあ事の発端は藤堂さん?」



ざわつく声の中に平助が的になっているのが聞こえた。



とりあえず、調べないことには始まらない。



……私、死ぬかもね。




フッと笑い、声を出して笑って見せた。



すると、2人も周りも話をやめて私を見た。




「…ごちゃごちゃうるさいな」



3人を冷たく睨みながら不敵に笑う。



「俺はここの誰よりも強いよ。

間者とか、いつでも殺せる奴らのところに潜入とか笑い話にしかならない。

それともさ」



私は袖口から刀をチラリと見せる。



「斬られたい?」



笑うのをやめて、野次馬を睨みつける。



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