拾われた猫。



「間者が紛れ込んでいるという話はどうやら本当らしい。

それが香月だという奴らが多い。

幹部連中以外は事情を知らねぇから、疑われても仕方ねぇ事だがな」



トシは冷静にそう言うと、私を見た。



その瞳にさっきのような殺気は無かった。




「お前、さっき隊士たちを煽ったのはわざとだろ」



私は目を見開いて、トシは「やっぱりな」と少し笑った。




総司や左之も呆れたように笑っていた。



平助は困ったような顔をして、勇は顔を崩さなかった。



「俺が隊士たちに言われても、お前が疑われるよりはマシだと思ったから……」




平助はしゅんっとして、子犬のようだった。



私は平助をクスリと笑った。




「ありがとう。

でも私のせいで平助が言われるのは嫌なんだよ」



だからといって、あんな言葉をあの状況で言うのは自分への疑いを肯定するようなものだった。



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