拾われた猫。
〝美華〟
夜になり、丞に鉄格子を外してもらう。
「…鉄格子開けられたら、逃げられるんじゃないの?」
気になることを聞いてみた。
丞は私の問いに、自慢げに笑った。
「ここは外からしか開けられないようになっている。
それに、この事を知っているのは幹部の人と俺だけだ」
上から伸ばされた手を握り、引っ張り出してもらった。
そして包みが渡された。
「これは?」
「君の着物が入っている」
開いてみると、白地に桜模様の着物だった。
梅姉さんから貰った大事にしていた着物。
「今回は女の格好の方が動きやすいだろうということになったんだ。
この着物を提案したのは原田さんだ」
着物をぎゅっと抱きしめた。