拾われた猫。
「遊女でもねぇ女をどの手が触ってやがんだ」
「いででっ!!」
捻り上げた手を更に痛めつける新八。
男は私を睨みつけるも、左之が前に立っているため、私には届かなかった。
「何者だ、お前たち!」
「新選組だよ。
酔った勢いで一般人巻き込むな」
新選組という言葉を聞いただけで、男は酔いが覚めたのか、絶望的な顔をする。
新八が手を離すと、一目散に逃げていった。
「あんた、大丈夫かい?」
新八はいつものような笑顔で私を気遣いながら、私の顔を覗き込む。
「…なんで……?」
女の格好だし、顔も見せていない。
「俺たちがお前を見間違えるわけないだろ」
左之は私たちだけが聞こえる声でそう言った。