拾われた猫。



「今日はここに泊まられるのですか?」



彼女の問いに素直に頷くと、急いでここを出ていった。




どうして素直に言ってしまったんだろう。



雰囲気がどこか懐かしかったからだろうか。



数分後に彼女は帰って来た。


布団の一式を持って。




「これ、使ってください」



にこやかな彼女に何も言えなくなり、ただ戸惑いながら「ありがとう」と返した。



「あの…」



彼女はおずおずと遠慮がちに私を見る。



「明日もここに…おられますか?」

「うん、まぁ…そのつもりだけど」



彼女の表情はぱぁっと明るくなり、私よりも年上なのに子供のようだった。


梅姉さんに似ている。


でも懐かしい感じはまた別の……。




「明日もまたここに来ますね」



私の返事も待たずにそれだけ言うと帰っていった。



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