拾われた猫。
日が昇り、光が私の顔をチラついていた。
目を開けると、見慣れないボロボロの天井。
「そうか、昨日からここに…」
上半身を起こすと、掛かっていた布団が落ちる。
覚醒しきった頭をフル回転させる。
まずどこから調べようか。
夜は遊廓?
そんな分かりやすいところに行くわけがないか。
とりあえず町をブラブラ歩いて、地味な情報収集から始めるしかない。
大きく溜め息をついて、布団を畳んで外套を身につける。
ボロ小屋を出る。
人の気配がしない、懐かしい雰囲気だった。
いつもは誰かしら走り回ったり、朝からうるさかったりするのに。
私の当たり前は、1人きりの静かな日常から騒がしく目まぐるしい日常に変わっていた。
その事にクスクスと笑いが出る。