拾われた猫。



私は甘味処に入り、あんみつを食べながら町の人を見ていた。



何をするでもなく、ただボーッと。



情報が無ければ掴まなければならない。


でもどこが情報源なのか分からない今、色んなものを見極めなければならない。



すると、路地の闇に人影を感じた。



「お勘定お願いします」

「はぁい」


元気良い町娘にお代を払うと、路地裏に向かう。


気配を消して近づくと、小さな声が聞こえた。





「……めて…さい!」

「うる…!

……遊女の出……に…生意……!」



バチンッと音が響き渡り、人が倒れた音がした。



もう少しだけ近づいてみると、ハッキリと男と見たことのある女性の姿があった。



女性は頬が赤く腫れていた。




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