拾われた猫。
だいぶ離れた人気のない道で止まった。
彼女の手を離して振り返ると、息を切らすして苦しそうに息をしていた。
「…ごめん、大丈夫?」
「は、はい…」
荒い息で精一杯返事をする彼女に少しの笑いが零れる。
息を整えながら首を傾げる彼女に、「ごめん」ともう一度謝る。
「一生懸命返事してるから、なんか可笑しくて…」
まだクスクスと笑う私につられたのか、彼女も笑い始める。
私は彼女に近づくと、私よりもほんの少し背が低い頭を撫でる。
「…出生なんて関係なく、こんなに一生懸命なのにね」
ポツリと自然に出た言葉は彼女に驚きを示させた。
彼女は嬉しそうに泣き出した。
私の袖を掴んで、ただただ涙を流していた。