拾われた猫。




「お見苦しいところを見せてしまいました」



ひとしきり泣いた後、彼女は恥ずかしそうにまだ少し赤い目を伏せた。




「…別に見苦しいとは思わないよ」



クスリと笑って踵を返す。



けれど、また袖に違和感を感じて振り返る。



「…私は、美華と申します!

……今日の夜は…夕食を作って持っていきますね」



挙動不審になりながら話す〝美華〟と名乗る彼女。



また可笑しくなって笑う。



「楽しみにしてる」とだけ言って、彼女の元を去った。




町の大通りに戻ると、適当に町をぶらつく。



全く0からの情報収集はもしかしたら初めてかもしれない。


いつもは届いたメールの中に詳細は詳しく書いてある。



そこから自分の欲しい情報を少し調べるだけで終わっていた。



さて……どうしようか。



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