拾われた猫。
そんな夕暮れ時のことだった。
何件目かの茶屋から出て、少し早いが、帰路についた。
ボーッと前を見ると、見たことがある顔が三人で神妙な面持ちで話していた。
あれは美華さんを襲っていた男…。
その脇に立っている2人は、新選組の隊士と女中だった。
何のことはない。
ただの友達だろうと思う。
不気味に笑いながら、路地裏に行くまでは。
私は気配を消して、話が聞こえるギリギリまで彼らに近づく。
「……どこからそんな噂が出たのか知らないけれど、これで動きやすくなったわ」
「ほほぅ。
噂を鵜呑みにするとは馬鹿な奴らだな」
…噂?
その場に座り込み、体勢を低くした。
どうやら長話になるようだ。