拾われた猫。



男はそのまま警戒もせず、遊郭に入っていった。



女の格好では遊郭には入りづらい。



「…はぁ」



ため息を一つ落として、人気のない入口を見つけるべく、少し歩く。



そう簡単にはないと思っていたけど、案外裏口に回れば煌びやかな世界とは違う、薄暗い道に出た。



小さな戸が半開きに開いている。



戸の横にあるゴミからして、ここはゴミを捨てる為に使っている所謂〝勝手口〟だろう。




中を覗き見ると、警備が2人いる。



そっと中に入り、1人の後ろに周り、手刀を落とす。


「…っ!」




声にならない声と同時にドサッとその場に倒れた。



「どうしたー?」



もう1人の男が呑気な声とともにやって来る。



素早くその場を離れる。



「おいっ!

どうしたんだ?!!」



騒ぎを後にして、あの男を探しに屋根裏に続く道を探していた。



< 400 / 443 >

この作品をシェア

pagetop