拾われた猫。
飲んだくれる男を見つけると、話に耳を傾ける。
どうやら、勝手口の騒ぎのことは知らないようだった。
遊女に寄り添われ、酔いが回った赤い顔はだらしない。
他にも何人かの男がいた。
「下の出の女はいけ好かん。
ここの女のように従順にすれば良いものを…」
ニヤリと気味悪く笑う彼の言葉など気にも止めない様子の遊女。
遊女は売られてきた女。
ここの躾はよく行き届いているのだろう。
貶されたからと言って顔色一つ変えない。
「……同じ人間なのに」
ボソリと呟いた言葉はどこにも届かない。
私1人で出来ることなどない。
せめていい人に鳥籠から放たれるのを祈ろう…。
「…新選組もあと少しだ。
必ず潰す…!」
脈絡もなく〝新選組〟を口にした。
他の男たちもだいぶ酔っているらしく、ベラベラと話し出す。