拾われた猫。
戸を開けると、美華さんがおぼんに入れたお皿を並べているところだった。
「おかえりなさい」
ふわりと微笑む彼女。
昼間の約束が頭に浮かんだ。
「……遅くなってごめん」
忘れていたとはさすがに言えない。
そんな私を見透かすかのように可笑しそうに笑う彼女は、「食べましょう」と急かした。
美華さんの料理は美味しかった。
新選組から離れて、私はきっと寂しかったんだと思う。
何も知らないはずの彼女がいる。
ただそれだけで、安心しているのはどうしてだろう。
少し引っかかりながらも、彼女と一緒にいることを懐かしむような心があることに気づかないフリをした。