拾われた猫。
布団を敷いて、ノアと一緒に寝転んだ。
私はノアの頭を撫でながら、話をする。
「ノア、今日の美華さんの料理美味しかったよ。
…なんだろう、懐かしい味がしたんだよ。
〝あの人〟じゃないのにね」
1人でクスクス笑う私を他所に、気持ちよさそうな寝息をたてる。
もし、私が自分の世界に帰ったら……。
ふとそんなことを思う。
私の世界にいる私とこの世界にいる私。
私は〝今〟が好きだ。
なのに、どうして〝あの人〟を思い出すのだろう。
もし私の世界に帰ったなら、あの人に会えるんじゃないかと思った。
頭の中を通り過ぎるのは新選組のみんなの顔。
……もし選択を迫られた時、私はどうするんだろう。