拾われた猫。
暗闇の中で琥珀色の彼が私の頭を撫でた。
それを何も言わずに見ていた。
「ほほぅ…、お前が私を睨まないとは珍しいな」
「……いつの間にか寝てたんだね」
彼は、「手厳しいな」と笑っている。
頭から手が離れると、どこか寂しく感じた自分は末期だと思う。
「…お前は元の世界に帰りたいのか?」
琥珀色の彼の声が少し震えていた気がした。
顔をまじまじと見るけど、いつものような余裕の笑みに気のせいだと感じた。
「……分からない。
でも、私の世界にはどこかで〝あの人〟が生きてる。
だから……帰らなきゃいけない気がしてる」
素直に告げる私に困ったように笑って、手が私の頬を覆った。