拾われた猫。
「にゃぁー」
足元の声に腰を屈めた。
その尻尾は解かれている。
「もう帰ってきたの?
早かったね」
ノアが私の肩に飛び乗ったその時だった。
「お前、情報早すぎだろ」
振り向くと、レッドブラウンを一つにまとめた彼、そして藍の緩い天パの彼が立っていた。
「……佐之、一まで」
不敵に笑う佐之と柔らかく笑う一。
「無事で何よりだ」
一の手にはノアに付いていたはずの手紙があった。
「街歩いてたんだが、ノアが来たんだ。
手紙だけ渡して帰るから追ってきたんだよ」
ブラブラと振る手には引っ搔き傷が見えた。
ノアの手紙を取ろうとしたんだろう。