拾われた猫。
無理やり掴まれる手を振り払って、根城の前の見張りに泣きついてみせる。
「お侍様!
どうかお助けください!」
少し無理矢理ではあったが、頭に掛かった外套を少し浅くし、目を潤ませる。
見張りの男は顔を赤らめて、私を庇うように前に出た。
「公衆の面前で恥ずかしくないのか!
それにその汚れは元々あったものだろう!」
声を大にしてそう言われ、周りから白い目で見られる柄の悪い男たち。
居心地が悪くなったのか、舌打ちをして去っていった。
その様子を見て、わざとらしく「はぁ…」と息を漏らし、パタリと座り込む。
「大丈夫か?」
心配そうに腰を屈める見張りの人に、優しく微笑む。
「ええ、ありがとうございました。
けれど……、安心したら腰が抜けてしまいました」
瞳を潤ませたまま彼を見上げる。