拾われた猫。
彼はゴクリと喉を鳴らし、私を抱き上げた。
「ここでは通行の迷惑になる。
中へ来たらいい」
私を運んで行く途中後ろを振り向く。
唖然と見ていた佐之と一にしてやったりと言ったように、舌を出して笑って見せた。
2人は顔を見合わせて、笑いを堪えていた。
それと同じように私も笑いをこらえた。
プルプルと震える私に、見張りの彼が不思議そうに首を傾げた。
「あ…、すいません。
まだ少しだけ怖くて…」
「そ、そうか。
可哀想に…」
男は女の色仕掛けには弱くなる。
経験が役に立ち、門の中に入ることに成功したのだった。