拾われた猫。
緋い髪はこういう時に使える。
この髪を見せることで気まずい雰囲気を作り、厠を探すふりをする。
簡単に部屋を抜け出すことが出来る。
「さてと…時間はあまり無いね」
怪しすぎない程度に気配を消して廊下を歩く。
私を入れたとなればあの下っ端の見張りはきっと怒られるんだろう。
……少し可哀想。
そんなことを考えながら廊下を歩いていた時だった。
「新選組の連中は仲間を拷問にかけているらしい」
ゲラゲラと警戒心もなく笑う声が聞こえた。
周りを警戒しながら、更に気配を消してその部屋に近づく。
「ほぅ…、内部決裂か?」
「いや、そこまでじゃねぇが、あの2人が気づかれる事はねぇだろう」
「ならば4日後が楽しみだ」
ニヤリと不気味に笑う2人の男。
その1人は美華さんを襲った男だった。
足音が近づいてきて、曲がり角に隠れる。
人の気配がないことを確認すると、陰から彼らを見ていた。