拾われた猫。
その後すぐに元の部屋に戻り、困ったように笑って迷っていたのだと告げる。
下っ端の見張りは疑うことなく、それを信じ、しばらく談笑をした。
この人は本当はいい人なのかもしれない。
そんな迷いを持ちながら、私は帰路についた。
ボロ小屋に着いた頃には陽が暮れそうだった。
それから間もなく、美華さんがご飯を作って持ってきてくれた。
そんな変わらない3日間を過ごした。
最終日の事だった。
「美華さん」
「はい?」
どこから話そうか迷っていると、何かを察したように美華さんは困ったように笑った。
「もう…そろそろ帰るのですか…?」
遠慮がちに、寂しそうに問いかけてくる。
コクリと頷いて、頭をポンポンと撫でてあげる。
「元気が出るおまじない。
……人の真似だけど」
カッコのつかない言葉に嬉しそうに笑ってくれた。