拾われた猫。
私を鋭く睨みつけたまま、ニヤリと笑い、短刀を懐から取り出した。
そのまま私を目掛けてくるけど、ヒラリと避ける。
決して広くない台所で大暴れする〝彼女〟の短刀を2、3回程かわして、距離を取る。
「くっ!」
当たらないことに焦れてきたのか、般若の様な顔をしていた。
「お前さえ居なければ、全て解決する!」
「悪いけど、トシ…副長には報告済みだよ」
そう言った私を、〝彼女〟は狂ったように大声で笑いつけた。
眉をひそめて睨みつけると、声を止めた。
「今ここの隊士がどれだけいる?
あんた1人でここが守れるほどいる?」
〝彼女〟の言っていることが分からなくて、自分の表情が固くなるのが分かる。
その時だった。
門が乱暴に開けられる音が聞こえた。