拾われた猫。




自分の部屋に急いで戻ると、自分の部屋を間違えたかと思った。



でもどこからどう見ても私の部屋。



「これって……」



そこには以前の殺風景な部屋ではなく、ぬいぐるみのような猫の人形が置いてある。



襖にも綺麗なちり紙が色んな形で貼ってあり、すごく綺麗だった。




机の上に置いてある着物は綺麗に洗われている。



着ている着物を脱ぎ、紺地に青のグラデーションに手を伸ばし、袖を通す。



髪の結い方も高い位置で一つにまとめる。





目を閉じ、大きく息を吸って吐く。



……やっと、帰ってきた気がする。




目を開け、刀の交わり合う音がする方に走る。




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