拾われた猫。
「そろそろ俺の出番っすか?」
少年の問いに空に浮かぶ月をボーッと見ながら、顎を手で触る。
そして何か思いついたように、目だけ少年に移す。
「雨の下につけ」
少年は目を瞬かせる。
歩みを止めない彼の背中を見て、思惑を察したのか、ニコッと笑った。
青年と同じように月を見つめ、別の方向に歩き始める。
「雨さん、俺の事気づくかなー?
あ、でも美華さんの事には気づいてなかったっぽいしなぁ」
残念そうに、でも楽しそうな声が漂った。
少年は月の光に照らされながら、心踊らせていたのだった。