拾われた猫。
倒れている男たち。
それから流れる緋い液体。
私の刀についたものと同じ緋。
刀を振って、緋を落とす。
そして鎖に繋がれている女の子に近づいた。
大の字に壁に貼り付けられているまま、私を見ている。
怖がるでもなく、縋るでもなく、覇気のない瞳。
先程まで受けていた暴行に、動かなくなった目の前の男達。
彼女にとっては今起こっている何もかもが非現実的で、頭が回っていないのか、ボーッと私を見つめている。
腕と足の枷をめがけて刀を下ろす。
ガキィンッ!
鉄特有の甲高い音とともに錠が外れたと同時に、体を支えていたものが無くなって彼女が倒れ込んだ。
その音で彼女の頭が覚醒したらしく、目を見開いていた。
「枷は外した。
あとは自分の身は自分で守れるだろう」
低い威圧するような声で声をかけると、ゆっくりと体を起こして、コクンと頷いた。
それだけ見ると、私はまた夜の闇を歩き始めた。