拾われた猫。
「だが、まぁ俺らは何も言わねぇ方がいいらしい」
原田左之助が苦笑いでボソッと声を上げる。
藤堂平助と永倉新八は頭に?を浮かべていたが、斎藤一は気まずそうに視線を横に向けた。
2人はその方向を見て、苦笑いを浮かべる。
「…な?」
原田左之助の言葉に2人は黙って深く頷いた。
斎藤一がチラリと見た先には、鬼の副長と恐れられる土方歳三が立っていた。
睨みつけるように2人の戦いを見ているが、止めようとはしなかった。
彼らがどういう経緯でこうなったのかは気になったらしいが、それ以上にこの勝負の先が気になっていた。
この道場の中に、彼らに水を差す者はいない。
いや、割って入ることこそが命取り。
彼らにはお互いしか見えていなかったのだから。