拾われた猫。
◆◇◆◇◆




間合いを取ってはぶつかってを繰り返していた時だった。



振り下ろされた刀を受け止めると、刀からピシッと音がした。



ここぞとばかりに力を入れられ、刀が半分に折れ、折れた半分が音を立てて舞い上がる。



「僕の勝ちだ」



不敵に笑って、刀を振り下ろされる。



私は彼の刀よりも、舞い上がっている破片を見ていた。



半身ずらしで彼の刀を避け、降りてくる破片を素手で掴んだ。



背後に移動して、掴んだ破片を彼の喉元に当てる。




「……私の勝ちだ」



沖田総司は目を見開いて刀の破片を見ていた。



お互い肩で息をしながら、そのまま留まっていた。




「刀が折れた時点で負けでしょ」

「……折れても戦い方はある」



沖田総司は悔しそうに横目で私を睨んでいた。



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