拾われた猫。



その時、手を叩くような音が一つ響いた。




「……そこまでだ」




土方歳三の声とともに、私たちが驚いたのは幹部が全員集まっている事だった。



夢中になっていたためか、周りの状況など忘れていた。



土方歳三の視線が私の折れた刀に向けられた。



柄を持つ私の手をチラリと見た。



「いやぁ、凄いな!

総司と張り合うとは驚いたぞ」




本当に驚いた表情の近藤勇に少し気が抜ける。




「そうじゃねぇだろ、近藤さん。

……何で預かったはずの刀がそこにある?」



予想通りの質問だった。


土方歳三は私と沖田総司を交互に睨みつける。



沖田総司はやれやれと言いたそうに、眉を下げて苦笑している。



沖田総司が口を開こうとした時、私が言葉を発した。



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