拾われた猫。



「腕が鈍ると思って、相手を頼みました。

……刀は部屋にいない時に借りました」




適当な言葉を紡ぐと、沖田総司はギョッとして私を見ていた。



土方歳三は沖田総司をチラリと見ると、私に視線を戻してため息をついた。




「……ったく。

何やってんだ…。

揃ってボロボロじゃねぇか」

「……道場はあとで拭いておきます」



私がそう言うと、近藤勇と土方歳三の視線は刀の破片を持つ手に移動した。



「全くだ。

そんな怪我をしてまで勝つこともなかっただろうに」



眉を下げて心配そうに言った近藤勇。


土方歳三は横目で彼を見て、またため息をついた。




「……近藤さんのお人好しは今に始まったことじゃねぇな。

山崎!」



入口付近で見ていた山崎丞を近くに呼びつける。



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