拾われた猫。
守っていたもの
「ちょっと染みるぞ?」
「……っ」
濡らした手拭いで傷口を拭いていく。
手拭いには血がべっとりと染みていく。
結局土方歳三ではなく、原田左之助に手当をされている。
優しい手つきで傷口を拭く。
慣れて痛みが引いてきた頃に、クルクルと包帯を巻いていく。
手慣れた手つきはきっと、〝刀〟を持っているせいなんだろう。
「これに懲りたら素手で刃を持つな」
おどけるように言う口調とは裏腹に、眉を下げて微笑んでいた。
まさか彼が手当をしてくれると思わなかったので、驚いていた。
彼が私の手当をすることになった経緯はこうだった。