拾われた猫。
『ついて来い』
短い言葉で前を歩く土方歳三。
『土方さん』
彼を止めたのは原田左之助だった。
『なんだ、佐之』
『どうせ書類の山があるんだろ?
手当なら俺がやっとくぜ』
沖田総司が言った通り、目にはクマが出来ていて寝不足な感じが伺えた。
悪い目つきがもっと悪くなっている。
『じゃあ行こうぜ』
そういうことで今に至る。
別に特別な理由があった訳じゃなかった。
特別な理由が欲しいわけでもなかったが。