拾われた猫。
「あー…サラシ巻いてるよな?」
言いづらそうに眉を寄せて、顎に手を置いた。
彼の視線の先は私の肩の傷だった。
なんの躊躇もなく着物をはだけさせる。
「……お前は…。
少しは躊躇え」
額に手を当てて呆れた声だった。
彼が言った通り、サラシを巻いているので見えたりはしない。
じっと彼の顔を見ていると、彼はため息をついた。
視線を斜め下に向け、少し緊張しているように思える。
「男っていうのはな…」
「しないでしょ?」
彼の言葉を遮る。
目を見開いたのは一瞬で、次の瞬間には眉を下げて笑った。
嬉しそうな彼を見ると、また胸が温まった。
でも……感情の返し方は分からない。