拾われた猫。




準備が出来た状態でまた祠を訪れる。



祠についたと同時に、グニャンと世界が揺れた。


たまらなくなって祠に手を置いて膝をつく。



そのまま座り込むと急に眠気が来て、意識を手放した。




夢の中は真っ黒だった。



そこでフワフワと浮いている男が私の前にいた。


いや、私も地面に足はついていないのかもしれない。



全ての黒が体の感覚を奪っているかのようだった。




琥珀色の腰までの長い髪を髪先の方だけでまとめ、白色の着物に黒の袴をはいた男だった。



綺麗に口角を上げて、私の方を見ていた。



「綺麗な顔には似合わない無愛想さだな」




夢とは記憶の一部だと聞いたことがある。


でもこんなに失礼で綺麗な男は知らない。




稀に予知夢を見る人間もいるみたいだけど、私は霊感とかはさっぱりだ。



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