拾われた猫。
「雨ちゃん」
意外な人が私の名前を呼んだ。
沖田総司の声は私を呼んでいると気づいたのは2、3秒後だった。
そちらを向くと、黒い笑みがあった。
「何?
僕が君の名前を呼んじゃいけないわけ?」
「……そうじゃないけど、初めて呼んだから」
彼もそのことに気づいていなかったみたいで、驚いていた。
黒い笑みは消えて、普通に微笑む。
「じゃあ僕のことは総司でいいから、君のことを名前で呼ぶことにした。
君さ、僕の隊に来なよ」
総司の言葉で周りが数十秒沈黙した。
そして一瞬で騒がしくなる。
「雨を先に誘ったのは俺だ!」
「何言ってやがる!
お前じゃ無理だってーの!」
「僕が誘ってるんだけど?」
3人の様子を見ていた近藤勇は「ハッハッハッ」と笑った。