拾われた猫。



「悪いことは言わん。

…総司はやめておけ」



苦い顔をしながら話しかけたきたのは斎藤一だった。


首を傾げると、彼は丁寧に説明してくれた。



「…総司は試合が好きだ。

あんたが総司の隊になったら、それこそ苦労するはずだ。

あいつの所に行くなら、俺の所でも構わない」



気を遣ってくれたらしかった。


そんなふうに感じていると、すかさず平助が声を上げた。




「ちょい待った!

一くんまで何で勧誘してんだよ!」

「いや、俺は香月のことを考えて…」

「一くん、変なこと教えないでくれる?」

「最もだったがな!」



騒がしい3人に囲まれて、可哀想なことになっている。



土方歳三は「はぁ…」とため息をこぼす。


他の幹部たちは微笑ましそうに笑っていた。



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