拾われた猫。
「誰って言いたげだ」
クスクスと笑う彼は上品さが伺えた。
キョロキョロと周りを見渡すけど、ただ黒が続くだけ。
「何も無いよ。
お前が思うように、〝ただ黒が続くだけ〟」
彼をキッと睨みつける。
「怒ったのか?
心を読まれたと」
また彼はクスクスと笑った。
まるで私で遊んでいるようで気に食わなかった。
「すまない。
そんなに怒らないでくれ。
お前に嫌われては泣いてしまう」
違う意味で泣いている彼を睨みつけたまま、警戒態勢を解かずにいた。
そんな私に困ったように笑って、ため息をついた。
ただの夢でこんなに気分が悪くなると思わなかった。