拾われた猫。
「怖い顔をしないでおくれ。
…そうだな、一つだけおしえてやろうか」
フワリと両手を広げた。
「この世界はお前のための世界なんだよ」
彼の言葉は不思議だ。
大袈裟なことを言ってるのに、嘘ではないと信じられる。
「……余計分からない」
「フフッ」
可笑しそうに笑う彼は、言葉一つ一つが生きているような気すらしてくる。
でもそんなことは口が裂けても言いたくない。
「お前にこの世界の仕組みをまだ話していなかったな」
またフワリと私から離れると、今度は私の目線の高さに合わせた。