拾われた猫。
「この世界…江戸國は一つの世界」
両手で丸い円を作って、私の前に出す。
「でも2つの国に別れている。
王の側と女王の側」
片方ずつ順番に人差し指を立てる。
そのままゆっくりと私の目の前まで近づく。
「この世界にはルールがある。
それはね、〝王と女王は出会ってはいけない〟」
人差し指たちで×を作り、私の顔の前に出す。
彼は悲しそうに笑っていた。
「不思議だろう?
対立する仲なのに、お互いがお互いの存在を知らない」
今度はくるりと背中を向いて、後ろで手を組む。
顔だけを横に向けて、遠くを見つめていた。
その様子をただじっと見ていた。