宛先は天国ですか?
こちらの視線に速攻気がついた将太さんが、璃子を見て軽くぺこっと会釈をする。
璃子もそれに対して軽く会釈を返す。
「…お兄さん?」
わたしと将太さんに、首を傾げながら問いかける璃子。
わたしと将太さんは一度顔を見合わせてから、首を横に振った。
「違うよ、知り合い」
そう言って、璃子はそっかと何か思いついたような顔をした。
「えっと、手紙の人よね。仲良くなったの?羨ましいなぁ…」
頬に手を当ててニッコリと笑う璃子が、樹さんからこつっと小突かれる。
「羨ましいなぁじゃないですよ。今回のこと、少しは反省してください」
まったく、と説教口調の樹さんに、璃子は「ごめんなさぁい」と言ってぺろっと舌を出す。
…反省の色なし。
「将太さんと樹さん?はどんな関係なんですか?」
璃子のことから話をそらしてそう尋ねると、将太さんが樹さんの方を見て、樹さんが軽く会釈をした。
「樹は同じ職場の後輩で、家が近いからよく話すんですよ」
将太さんがなんだか嬉しそうにそう言った。