宛先は天国ですか?
信号が赤であるうちに、さっと文字を打っていく。
長々と今日のことを語るのは、メールじゃなくて口頭の方がいいかもしれない。
それなら、終わったことだとかそういうことだけでもいいよね。
また会う約束をすればいい話だし。
『今さっき終わりました。学ぶことがたくさんあって、楽しかったです』
短くてとても簡潔な文になつてしまったけれどまあいいだろう。
誤字がないかだけ確認をして、それから送信をした。
その瞬間、
「あー、やっと佐川に追いついたー」
声をかけられ、いきなりトンっと後ろから肩を叩かれ、小さく肩を震わせた。
青になった信号、歩き出すわたしの隣に、自然と聖也が並んだ。
「なに、追いかけてきたの?」
深呼吸をして息を整える聖也に問うと、聖也はえへへと笑って誤魔化した。
「いやだってさ、1人で帰んの寂しいじゃん?」
気持ち分かるだろ?と首を傾げた聖也に、分かるけどと肩をすくめる。