宛先は天国ですか?
とりあえずスマホをポケットの中にしまい、聖也のペースに合わせて歩く。
聖也いわく、わたしが1人の時に歩くペースは少し早いらしい。
追いつくのが大変だと、結構前に文句を言われたことがある。
そりゃあ誰かが追いかけてきてるなんて考えてないし、早く目的の場所に行こうと思うと自然と早足になるものだと思うのだが。
「あー、そういえばさ、さっきスマホの画面がチラッと見えたんだけど、」
後ろから追いかけてきていた聖也には見えてしまったらしく、頬が熱を帯びる。
好きな人へのメールが見られたなんて、恥ずかしいことこの上ない。
いや内容はすごく事務的だし、保護者に送ったメールに見えるだろうけど。
逆に言えば、好きな人に対して、保護者に送るような内容のメールをしてるというわけなんだけど。
まあ下手に顔文字とかつけるのもわたしらしくはないし仕方ないんだけど。