宛先は天国ですか?



わたしは、叶わない恋をしていると自覚していた。

10歳未満の年の差なら、まだなんとかいけると思ったかもしれない。

例えばもうわたしが成人していたら、叶うと思ったかもしれない。

けれど実際は12歳も差があって、しかもわたしはまだ高校1年生。

やっと義務教育を終え自分の道を自分で見つけ、そうして進み始めた頃。

将太さんみたいな“大人”には、まだまだ心も体も追いついていない。


…叶わない恋をしている。

叶えたいと思うから必死になって、接点をもって頑張ってみている。

けれど結局は、こうして子供扱いされる日々から抜け出せないまま。

いつまで経っても、わたしは将太さんにとっては妹みたいな存在のまま。


それなら、せめて、その関係だけでも保っていたいと思う。


「そういえば、メール、ありがとうございます」

ふと、思い出してお礼を言う。

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