宛先は天国ですか?
3.
ほんの少し、ひやっと冷たい風が吹いた。
秋が通り過ぎていくのをなんとなく感じながら、電車に乗り込む。
電車の中は暖かくて、まだ中間服でも大丈夫かな、なんて思える。
わたしの場合、駅まで自転車じゃなくて歩いていくから、そんなに寒くないし。
はぁ、と息をついてからスマホを取り出して、未だ会話のないままのトークを眺める。
…璃子と話さないと。
そう思えば思うほど話す言葉が思い浮かばず声をかけるにかけられず。
将太さんに頑張ると宣言した翌日から確かに頑張ってはいるものの、空回りしてばかり。
なんとか昨日、話す言葉を考えてきたから今日こそ話しかけないと。
頑張れと自分に言い聞かせて、スマホをポケットの中にしまった。
早く学校についてしまって、それからどうしようかと教科書でも開いた。
11月の終わりから期末テストがあったはずだから、なるべく早くから勉強を開始しないと。
中間みたいにギリギリにやって後悔はしなくない。