宛先は天国ですか?
「暖々、久しぶり!」
元気に声をかけてきた友人は、挨拶代わりにわたしをギュッと抱きしめた。
わたしもそれに笑顔で応えて抱きしめ返した。
ズキズキと、胸が痛むのはひたすら無視をしていた。
「ほんと、久しぶりだね」
するっと口からこぼれた言葉は、ほんの少しだけ震えていた。
どうかそれが彼女たちには伝わらないことを願って、笑みを貼り付ける。
幸い彼女たちは何も気付かず、ニコニコと笑顔を浮かべていた。
「会いたかったよぉ〜」
「ほんとほんと。暖々だけ遠い学校行っちゃったから、なかなか会えなくて寂しかったよ」
ぎゅうっと抱きしめる腕に力を込めて、わたしを離さまいとする。
もう1人は、喚く1人に相槌を打ちながら、わたしにニコリと笑いかけた。
えっちゃんと、やよちゃん。
会ってしまったのがこの2人だけで良かったと心底思った。
まだ2人は、相槌を打って笑うだけだから。