宛先は天国ですか?



…できることならもう、“みんな”には会いたくないよ。

2人でもこれだけ胸が苦しいんだから、みんなに会ったらきっと息ができないよ。

高校生活に慣れてしまったから余計に、中学生の頃の関係が苦しいんだ。

こうしてまた、誰かと2人3人で会うことがあるくらいならまだしも、自ら望んで会いはしないよ。

今更、本音なんて言えないでしょう。


「じゃあ、まあね、ばいばい!」

えっちゃんが、満面の笑みで手を振った。

また会おうねと言葉を残して、やよちゃんの手を引いていく。

やよちゃんはそんなえっちゃんに少し呆れ顔をして、わたしに手を振った。

わたしはそれを見ながら、そっと小さく手を振り返した。


ああ、やっぱり、2人は相変わらず仲が良いなぁ。

家が近くて幼い頃からの仲の2人には、なかなか入り込めなくて自分だけ浮いてしまう。

2人にはそんなつもりなくても、自分だけ明らかに場違いな気がしてしまう。

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