宛先は天国ですか?
みんなみんな、そうだった。
誰かが誰かと楽しそうに話す傍らで、話についていけず笑うだけのわたし。
それが普通だった、なんでもない日常の一部だった。
それがたまらなく苦しいのはきっと、話についていけないわたしだけだった。
だから余計に、何も言えなくて、構ってくれることに感謝しなきゃってなって。
嫌なことを言われても耳をふさいで、目をつむって、口元に笑みを貼り付けて。
…高校に入って、璃子はわたしには分からない話をすることもあった。
けれど、例えばそれがドラマの話なら、どんなドラマなのかを説明してくれる。
わたしが興味を持つように。
絶対に、環奈ちゃんと2人の世界に入ることがあっても、わたしを置いてけぼりにはしない。
…わたし、璃子にもうたくさん助けられているんだよね。
それなのにわたしは、璃子に何も言えないで隠してばかり。
いつも助けてくれる璃子を、裏切ってばかりだ。